ジーコ氏、日本選手の早期海外挑戦に警鐘 ブラジルを反面教師に
このニュースをシェア
【6月13日 AFP】日本サッカーの発展に長年尽力し、日本代表監督も務めた元ブラジル代表のジーコ氏(72)が、日本人選手が若いうちに欧州へ移籍する傾向に警鐘を鳴らし、母国ブラジルを反面教師としてほしいと訴えた。
ブラジル代表のレジェンドであるジーコ氏は、Jリーグ創設期に鹿島アントラーズでプレーし、キャリアを日本で終えた。引退後もコーチやテクニカルディレクターとしてクラブに関わり、鹿島をJリーグ屈指の強豪クラブへと導いた。2002年から2006年には日本代表の監督も務めた。
この30年間で、日本がサッカー後進国からW杯常連国へと成長し、選手たちが欧州の強豪クラブで活躍するまでになった変化を、ジーコ氏は間近で見てきた。
ジーコ氏は、日本の選手がJリーグの先を見据えるようになったことを「ポジティブ」な進化と評価する一方で、適切なタイミングで移籍することが重要だと語る。母国ブラジルと同様に、国内リーグでほとんどプレーせずに欧州に移籍する選手がいる現状に懸念を示す。
「ブラジルの選手は欧州に行くのが早すぎて、ルーツを失ってしまう。特に反骨心のない選手は、ポテンシャルを発揮できずに戻ってくる」と語った。
「早く行き過ぎて、出場機会が得られない。そうしたことが、ドイツやイタリアなど多くの場所で起こっている。日本の選手にも同じ状況の人が多い。早すぎて自信を失い、結果的に国内に帰ってくることになる」と指摘した。
それでもジーコ氏は、現在の流れは日本にとって全体としては良い傾向だとも考えている。かつて欧州クラブが日本人選手を「マーケティング目的」で獲得していた時代や、自身が代表監督を務めていた頃と比較し、現状は大きく進化したと語る。
「当時も欧州でプレーする選手はいたが、試合に出ても30分、5分、15分といった短い時間だった。今はスタメンで活躍する選手が多く、それが大きな違いだ。代表に戻ってくるときも、今の選手たちは当時と違って試合勘がある」