【6月9日 AFP】8日に行われた全仏オープンテニスの男子シングルス決勝で、土壇場から優勝を果たしたカルロス・アルカラス(スペイン)が、「真の王者」は追い込まれた状況で生まれると語った。

世界ランキング1位のヤニック・シナー(イタリア)と対戦した前回王者のアルカラスは、第4セットでゲームカウント3-5とリードされ、自身のサービスゲームで0-40と追い込まれた。

しかし、そこから3本のチャンピオンシップポイントをしのぐと、最後は5時間29分の死闘の末に4-6、6-7 (4-7)、6-4、7-6 (7-3)、7-6 (10-2)で勝利。グランドスラムの歴史に残る逆転劇を成し遂げた。

これまで2セットダウンからの逆転勝利の経験はなかったアルカラスだが、「厳しい状況でこそ、戦い続けなければならない。グランドスラムの決勝で、疲れたとか言っていられないし、諦めるなんてもってのほか。戦い続けて自分のタイミングをつかみ、流れを取り戻し、勝利を目指すだけだ」と語った。

「真の王者は、そういう追い込まれた場面でこそ生まれる。本当のチャンピオンは、キャリア全体でそういう場面を経験している」

アルカラスにとっては、これが四大大会(グランドスラム)通算5勝目で、決勝ではいまだ無敗を誇る。また、グランドスラム決勝でマッチポイントをしのいで勝利したのは史上3人目で、前回は2019年ウィンブルドン選手権でノバク・ジョコビッチ(セルビア)がロジャー・フェデラー(スイス)を破った一戦だった。

「最後のポイントが決まるまでは、試合は終わりじゃない」と語るアルカラスは、「いつも自分を信じている。マッチポイントを握られても疑ったことはない。とにかく1ポイントずつ集中するだけだった」と明かした。

アルカラスはこれでシナーに対して5連勝を飾り、対戦成績を8勝4敗とした。新世代を代表する二人にとって、今回は過去最大の大舞台での対決だった。

「グランドスラムの決勝での初対戦だ。これが最後ではないことを願っている」とアルカラスは話し、「何度も言っているが、毎回お互いに最高のプレーを引き出し合える」と続けた。(c)AFP