【6月13日 AFP】米カリフォルニア州選出のアレックス・パディヤ上院議員(民主党)が12日、ドナルド・トランプ政権のクリスティー・ノーム国土安全保障長官が開いた記者会見から強制退出させられた。不法移民の摘発をめぐる緊張がさらに高まった。

パディヤ氏は米国第2の都市ロサンゼルスの連邦ビルで、同市を揺るがす作戦についてノーム氏に質問しようとしたところを、記者会見場から強制的に退出させられた。

AFPを含む記者団の前で、パディヤ氏は自身を退出させようとする2人の男性ともみあいながら、「アレックス・パディヤ上院議員だ。(ノーム)長官に質問がある」と述べた。

記者会見場の外でパディヤ氏のスタッフが撮影した動画には、米連邦捜査局(FBI)のロゴ入りの防弾チョッキを着た警備員が、パディヤ氏を地面に押し倒し、手錠をかける場面が映っている。

パディヤ氏は抵抗しなかった。

「ここは録画禁止だ」と告げる声が聞こえ、カメラの前で人が動いたところで、映像は終了した。

国土安全保障省(DHS)は、録画映像という証拠があるにもかかわらず、パディヤ氏がノーム氏に「突進」したと主張。

DHSのトリシア・マクラフリン広報担当次官はソーシャルメディアに、「パディヤ上院議員は、無礼な政治劇を選び、生中継の記者会見を妨害し、身元を明かさず、上院議員のセキュリティーバッジも着けずにノーム長官に突進した」「大統領警護隊(シークレットサービス)は彼を襲撃者だと考え、職員は適切に対応した」と投稿。記者会見後、ノーム氏とパディヤ氏は15分間会談したと付け加えた。

ノーム氏は、パディヤ氏の妨害を「不適切」と呼び、記者会見で、パディヤ氏は自身との会談を求めていないと述べていた。

この出来事に民主党は即座に反応した。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、この出来事を「言語道断で、独裁的で、恥ずべき行為だ」と批判。

「トランプ氏とその突撃隊は制御不能だ。こんなことは今すぐに終わらせなければならない」とソーシャルメディアに投稿した。

ロサンゼルスのカレン・バス市長は、この出来事を「まったくもって忌まわしい。言語道断だ」と批判。

「パディヤ氏は現職の上院議員だ。トランプ政権による私たちの街への激しい攻撃を終わらせなければならない」と述べた。

米上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務は、この出来事を「卑劣」と呼び、調査を求めた。

「(この出来事は)全体主義の匂いがぷんぷんする。民主主義のやり方ではない」「パディヤ上院議員は、カリフォルニア州で何が起きているのかという、誰もが答えを知りたいと思っていることについて質問するために、正当にその建物にいた」と述べた。(c)AFP