銃規制緩和で銃による米国の子どもの死者数、数千人増加 研究
このニュースをシェア

【6月10日 AFP】米国の州で、2010年の連邦最高裁判決をきっかけに銃規制が緩和された結果、銃による子どもの死者数が数千人増加したとの研究結果が9日、医学誌「JAMA小児科学」で発表された。大半が、銃による殺人と自殺だとしている。
ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の救急医で、同論文の筆頭著者ジェレミー・ファウスト氏はAFPに対し、「子どもの自動車事故による死亡率は激減したが、一方で、銃による死亡率が上昇し、1歳以上の子どもの主要な死因としては自動車事故に取って代わっている」と指摘した。
この変化を証明するため、ファウスト氏ら研究チームは、2010年に最高裁が「マクドナルド対シカゴ判決」を下した前後の州ごとのデータを分析した。
武器保有の権利を保障する合衆国憲法修正第2条を根拠とする同判決は、州および地方政府に拡大され、それを機に、銃規制を強化した行政も一部あるが、多くは銃規制を緩和した。
チームは、各州を銃に関して「最も寛容」、「寛容」、「厳格」の三つのカテゴリーに分け、銃による0~17歳の死亡事例をまとめた疾病対策センター(CDC)のデータを使用した。
「超過死亡率分析」を行い、2011〜23年までの実際の死者数を、1999〜2010年の過去の傾向と人口増加に基づくモデル予測と比較したところ、結果は明白だった。
銃規制を緩和した州では、子どもの銃による超過死亡は7400人以上で、このうち6000人以上が銃に関して「最も寛容」な州に該当した。
対照的に、「厳格」な8州では超過死亡は見られなかった。モデル予測の死者数が4267人だったのに対し、実際の死者数は4212人で、この分析モデルへの信頼性を高める結果となった。
ファウスト氏は、「多くの人々が驚くのは、銃の事故による死亡事例は極めて少なく、大半が銃を用いた殺人と自殺である点だと思う」と述べた。
この研究は、銃規制の緩和と銃による子どもの死者数増加との強い関連性を示しているが、因果関係は証明できていない。
しかし、こうした傾向は、銃規制に関する法改正によるものではなく、全体的な暴力の増加が原因ではないかを検証するため、銃が使われていない殺人と自殺のデータを分析したところ、同様の増加は見られなかった。
そのため、研究の結論としては「非常に説得力がある」とファウスト氏は主張している。(c)AFP