【6月9日 AFP】ローマ・カトリック教会の教皇レオ14世は8日、聖霊降臨祭のミサで行った演説で、世界各地でナショナリズムを助長してきたとする「排他的な思想」を拒絶するよう信者らに呼びかけた。

レオ14世はバチカン(ローマ教皇庁)が推定約8万人と発表した群衆を前に「心と思考の国境を開く」よう奨励。「教会は人と人の間の国境を開き、階級や人種による壁を打ち破らなければならない」と述べた。

演説では現在の出来事や紛争、特定の指導者を名指しすることはなかったが、「異なる者への恐怖を超えなければならない」と述べ、「愛があるところには、偏見の入り込む余地はなく、隣人と私たちを隔てる『安全』地帯も存在しない。悲しくも今や政治的ナショナリズムの中に見られる排他的な思考様式も存在しない」と語った。

教皇は物理的な国境については言及しなかったが、壁や障壁に焦点を当てた発言は、米国への不法移民流入の阻止を誓っているドナルド・トランプ米大統領の政策を彷彿とさせた。

レオ14世は1か月前の就任以来、世界各地の紛争の仲介を申し出ており、先週はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と初めて電話で会談した。(c)AFP