【5月9日 東方新報】中国・四川省(Sichuan)松潘県林業・草原局は7日、最新のモニタリング成果を発表した。それによると、ジャイアントパンダ国家公園内にある白羊および小河の両自然保護区に設置された赤外線カメラが、半年ぶりに雪の降った後の山林で活動する野生のジャイアントパンダの姿を複数記録したという。特に注目されるのは、母子のジャイアントパンダが揃って赤外線カメラを探る様子を初めて鮮明にとらえた点であり、あわせて若い個体や成獣の典型的な野生下での行動も貴重な映像として収められた。

 発表によれば、白羊自然保護区で撮影された2分間の映像には、母子のジャイアントパンダが赤外線カメラの左側に現れる様子が映っていた。3歳ほどの若いパンダが最初に一頭で画面に入ってきて、数歩進んだ後にその場で転がり、起き上がって前方の林を見回して様子をうかがった。その後、母親の方に向きを変えて歩き出し、同時に赤外線カメラが揺れ、好奇心に満ちたパンダの顔がレンズに映し出された。子どものパンダはしきりに鼻でカメラを嗅ぎ、舌でレンズをなめ、さらには前脚でカメラをいじって角度を変えようとし、まるで「自撮り」を楽しんでいるかのような様子だった。この一連の行動は約1分半続いた。続いて母親の成獣も現れ、しばらくカメラをいじったのち、子どもを連れて林の奥へと姿を消した。

 別の映像では、約3歳の若いパンダが単独で行動している様子が収められていた。この個体はまず、地表に露出したトウヒの根を嗅ぎ、その後、前脚2本で体を支えながら周囲をきょろきょろと見回し、興味を示していた。スタッフの分析によると、こうした行動は若いパンダが採食技術を身につける過程であり、空間認識や環境適応力を形成するために欠かせない行動だという。

 小河地区に設置された赤外線カメラの映像には、2本の動画が含まれており、1頭の成獣のオスがはっきりとした縄張り行動を見せていた。オスのパンダは、鼻先で幹の表面を何度も嗅いだあと、後脚を持ち上げて木の根元に「高難度」の排尿をしてマーキングを行った。また、別の成獣の個体は大木の根元に身を寄せたままうたた寝していたが、やがて立ち上がってあくびをし、目の前の木々を順に嗅ぎ回った。スタッフによれば、尿のにおいや木の匂いを嗅ぐ行動は、フェロモンを通じて個体の情報や繁殖状態、縄張りの境界を伝えるものであり、ジャイアントパンダが野生環境で社会的な秩序を維持するうえで極めて重要な戦略だという。

 今回の調査で撮影された一連の映像は、雪が降った後の山林で活動する複数の野生パンダの行動をとらえたものであり、ジャイアントパンダの野生における行動や生態を研究するうえで極めて意義深い資料となる。映像は、2つの自然保護区においてパンダの個体群が活発に活動していることを裏付けると同時に、その生活様式や行動パターンをより深く理解する手がかりを提供し、今後の保護・管理の科学的根拠となることが期待されている。(c)東方新報/AFPBB News